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頭痛を考える(第1回)

今後しばらく、頭痛に関する私見を記事にしていきます。現代医学的見方とは異なる視点からの原因考察と治療法についてのまとめです。患者さんにも医療者にも参考になる内容にしたいと思ってます。

 

概論

まずは、私が頭痛をどういうものと考えているかを紹介したいと思います。ですが、その前に現代医学での頭痛分類も、簡潔に紹介しておきます。

 

頭痛は、原因となる病気がある場合(二次性頭痛、頭部外傷とか、脳腫瘍とか様々)とない場合(一次性頭痛)に分類され、一次性頭痛のうち、いつも頭痛があるとか時々頭痛が起きることが何年も前からあるような場合、慢性頭痛と呼んでいます。

そして慢性頭痛は、その症状の特徴から、緊張性頭痛、片頭痛、群発性頭痛の三つに分類されています。ざっくりその特徴をあげると、

1)緊張性頭痛は、頭が締め付けられるようなとか重いとか表現される痛みが持続的にある。

2)片頭痛は、頭の片側が、ずきずきするような痛みが時々生じ(発作性)、痛みがない時もある。

3)群発性頭痛は、片側の目の奥、こめかみあたりが、発作性に耐え難いほど激しく痛み、それに付随して涙が出る(流涙)、鼻水、鼻詰まりなどの症状が出ます。

 

以上が、現代医学での大雑把な頭痛分類です。(詳細を知りたい方は、国際頭痛分類で検索してください。非常に細かく記載されています)

 

一方、私は、慢性頭痛を症状の特徴ではなく、頭痛を引き起こす原因、誘因から分類しています。すなわち頸椎性、筋緊張性、自律神経性、免疫性の4要因に分けて考えています。ですから、私が、頭痛患者を診る時は、この4要因のどの要素を持っているか、どの要素が複合されているのかを判断し、持っている要因を除去あるいは減少を目指すことになります。

 

1)頸椎性要因とは

頸椎は7個あり、一番上の頸椎(第一頸椎=環椎)と後頭骨の間の関節は、環椎後頭関節です。そして一番下の頸椎(第7頸椎)は、第1胸椎と関節をつくります。これらの関節にずれがあると、そこに炎症、腫れが生じます。この異常は、局所の痛みとともに、頭への関連痛といわれる痛みを作り出し、その程度が悪化すると、頸椎間から出る神経(神経根)を刺激し、頭部に神経痛(小後頭、大後頭神経痛など)を引き起こします。また、脳を包んでいる硬膜への神経も、頸椎から出ているため、硬膜に痛みを感じさせ(頭痛と感じる)ることがあります。

 

2)筋緊張性要因とは

頭は重さが5kgほどありますから、前に出すぎたり、左右に傾いたりすると頭を安定させるために頑張っている筋(頸椎と頭蓋骨、頸椎と頸椎、頸椎と胸椎、肩甲骨と頭蓋骨、鎖骨と頭蓋骨などを結んで頭の位置を安定させるために頑張っています)に疲労(ヒスタミンなどの疲労物質による痛み誘発)、緊張(血管圧迫による阻血の痛み、神経の牽引、圧迫に伴う関連痛)が、起きることで首肩の痛み、コリとともに頭痛が引き起こされます。

 

 

3)自律神経性要因とは

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、その二つは拮抗的に作用して、内臓や心臓血管の働きを調節しています。ですから、頭部の血管の収縮拡張もコントロールしていますので、これがうまく調整されないと、過度の血管の拡張が起き、ずきずきするような拍動痛を頭痛として感じることになります。また、自律神経は、痛みの閾値を変化させる(痛みを感じやすい、感じにくい)こと、免疫系に影響することなどから重要な要素となります。

 

4)免疫性要因とは

神経痛を引き起こすウイルスが存在することが知られていますが、一番有名なのが帯状疱疹ウイルス(水疱瘡ウイルス、ヘルペスウイルスの仲間)で、顔面の神経痛(三叉神経痛)を引き起こすことがあります。その他に、内耳神経にヘルペスウイルスが入り、めまいを引き起こしたり、毛様体神経節(目の奥にある)に入り込んだヘルペスウイルスが、目の奥の痛みを引き起こしているという報告もあります。いずれにしても免疫力が正常に働いている間は、休眠しているウイルスが、免疫力の低下とともに活動しだすことで、頭部に関連する神経を刺激し、頭痛を引き起こすことがあるわけです。

 

今回は以上です。次回は、4要因の詳細について触れていきます。

 

蔀 祐司

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